保険金は、基本的に損害額が決まるまで受け取ることが出来ませんので、治療や示談交渉が長引くことで、保険金の受け取りが遅れて経済的に窮地に追い込まれる場合があります。しかし、自賠責保険には「仮渡金」と「内払金」という制度が存在し、被害者が交通事故によって窮地にならないように、示談が成立して保険金が支払われるまでの補償を自賠責保険で補うことができます。
仮渡金とは?
仮渡金とは、被害者から請求できるもので、加害者から損害賠償金の支払いを受ける前に、治療費や生活費、葬祭費などを補うために請求します。
仮渡金は、被害者のみ請求することができます。請求できるのは1度のみで複数回請求することは禁じられており、その金額も決まっています。仮渡金の支払いは請求後、約1週間で振り込まれます。
死亡した場合 | 290万円 |
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治療日数30日以上かつ、入院14日以上の場合と、 下半身の骨折の場合 | 40万円 |
治療日数30日以上または、入院14日以上の場合と、 腕の骨折の場合 | 20万円 |
上記の以外の治療日数11日以上の場合 | 5万円 |
内払金とは?(平成20年に廃止)
内払金とは、治療や示談などが長引いて、賠償額がなかなか決まらなくて保険金の支払いが長引く場合は、保険会社に対して保険金を請求することができます。内払金は仮渡金と違って何度でも請求することができますが、被害者一人あたり10万円を超える損害がある場合でしか請求することができません。
仮渡金と内払金の比較
内容 | 仮渡金 | 内払金 |
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対象者 | 被害者 | 被害者・加害者 |
保険金の額 | 死亡時:290万円 傷害:最大40万円 | 1回10万円 (上限120万円) |
請求回数 | 1回のみ | 120万円までなら何度でも可能 |
支払日 | 請求後、約1週間 | 請求後、約1週間 |
必要書類 | ・仮渡金支払請求書 ・交通事故証明書 ・事故発生状況報告書 ・医師の診断書(死体検案書) ・加入者の印鑑証明書 ・委任状、委任者の印鑑証明書 ・戸籍謄本 | ・診断書(診療報酬明細書) ・交通事故証明書 ・休業損害証明書 ・印鑑証明書 ※2回目以降の請求では、交通事故証明書と印鑑証明書は不要になります |
資金に余裕があれば請求する必要は無い
仮渡金も内払金も本来貰える保険金(本請求)から補われるものなので、仮渡金や内払金を請求したからと言ってトータルの保険金が上乗せされる訳ではありません。仮渡金や内払金を使うのはあくまで示談前に資金が必要になった場合に限りますので、治療費に余裕がある場合は、請求する必要はありません。