「ひき逃げ事故で人とは思わなかったは本当か?」でも解説しましたが、ひき逃げ事故を起こした加害者の大半が、「人を跳ねたとは思わなかった」と証言します。確かに一部の加害者は、本当に人と認識せずに動物やゴミ袋だと思ったので、そのまま走り去ったと思う人もいるでしょうが、大半の加害者は嘘を付いています。
嘘を付く理由は、出来るだけ量刑を軽くするためです。では、人と認識してひき逃げを起こした場合と、認識していなくてひき逃げを起こした場合とでは罪の量刑が変わるのか?
殺人罪と措置業務違反が適用されない可能性が・・・
自動車事故で相手を死傷させてしまった場合は、大きく分けて「自動車運転過失致死傷罪」「危険運転致死傷罪」「殺人罪」「措置業務違反」の罪に問われることになります。
自動車運転過失致死傷罪は適用される?
まず、人と認識していてもしていなくても轢いた相手を死傷させてしまった場合は、自動車運転過失致死傷で7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金に処せられることになります。
自分の過失で相手を死傷させてしまった場合は、どんな言い訳をしても罪を逃れることはできません。
危険運転致死傷罪は適用される?
危険運転致死傷罪は飲酒運転や、薬物を摂取して運転しているときなど、正常な運転が困難な状態で事故を起こしてしまった場合に適用される罪になりますので、事故後の問題であるひき逃げに関しては適用されません。
殺人罪は適用される?
殺人罪は、ひき逃げや故意による事故など、悪質な死亡事故を発生させた場合に適用される罪になりますので、人だと気付かずに轢いてしまった場合は、悪質な死亡事故と認められることはありませんので、殺人罪の適用はされない可能性が高いです。
措置業務違反は適用される?
嘘を付いて逃れる一番の理由は措置業務違反から逃れる為です。
事故を起こした際に、事故を起こした加害者は被害者の救護をしなければいけないと法律で決められおり、それを怠ると措置業務違反にあたります。ですが、裁判で人と認識していないと判定されれば、ひき逃げは適用されませんので、自ずと措置業務違反も適用されないということになります。
嘘を付くと余計罪が重くなる可能性もある
ここまでの話を聞いていると、「嘘を付いた方が罪が軽くなる可能性が高いじゃないか!!」と思われるかもしれません。確かに、人と認識していたか、していなったという真相は加害者しか分かりません。ですので、嘘を付いていたという証拠がなければ、言い逃れ出来る可能性もあり、その結果罪が軽くなる可能性もあるのは事実です。
ですが、嘘を付いていることがバレてしまった場合は、反省していないと思われ裁判でかなり不利に働くことになり、量刑が更に重くなる可能性があります。