不幸にも交通事故で被害者が死亡してしまった場合や、事故の後遺症で今までしていた仕事をすることが困難になった場合に、事故が無ければ得られたであろう収入(利益)のことを「逸失利益」と呼びます。
逸失利益は、今ではなく将来にわたる損失になりますので、どれだけ大きな怪我をしても働ける状態にあれば、逸失利益を請求することはできません。
逸失利益の算出方法
逸失利益は「将来」得られるであろう収入なので、算出金額を確定するには非常に困難であり、控訴でもよく争われています。では、ここでは一般的な逸失利益の算出する際の要因について考えていきたいと思います。
基礎収入
逸失利益の基礎になるのが、被害者の収入です。収入が高ければ高いほど、今後貰えるであろう収入も増えますので逸失利益が高くなるのは当然ですよね。会社員の場合は、収入が一定なので基礎収入の計算はやりやすいですが、収入がその都度変動する自営業者や、収入の無い主婦や無職者、これから就労する学生の場合、基礎収入をいくらに定めるのかは非常に難しくなります。
働ける期間
被害者が今後働けるであろう期間も、逸失利益の計算対象に入ります。何歳まで働けるという基準を定めるのは難しい問題ですが、裁判例を見ていると、一般的に67歳で設定されることが多い様です。尚、60代後半以降の被害者の場合は、平均寿命の1/2程度を就労可能年数と定めている事例が多いです。
ですので、年齢が若い方が、逸失利益の金額は大きくなると言えるでしょう。
生活費の控除
被害者が生きていれば生活費がかかりますが、死亡してしまった場合は生活費がかからなくなりますので、その分の生活費は控除しなければいけません。尚、被害者が後遺障害などで生きている場合は、控除の対象になりません。